観る将さんは語りたい

すっかり観る将になってしまった、元指す将の将棋観戦記録です

レイワゼロ年代世代

新四段誕生

昨日、新四段の発表があった。 まず、服部慎一郎さんと、谷合廣紀さんの昇段をお祝いしたい。 お二人とも昇段おめでとうございます。 過去の三段リーグの成績からいつ昇段してもおかしくない実績を残していた二人かつ、応援していた二人だけに個人的には非常に嬉しい。 世間的には西山朋佳三段が昇段「できなかった」事に注目が集まっているが、まあそれはそれ。

閑話休題話を戻して

平成の将棋界を引っ張ってきた「世代」は誰なのかという話になると、当然「羽生世代」を誰もが思い浮かべるであろう。

羽生善治を筆頭に、森内俊之佐藤康光丸山忠久郷田真隆藤井猛村山聖、それと先崎学。 これらの羽生世代が平成の将棋界を引っ張ってきた事に異論を唱える人はいないだろう。 各人何かしらのタイトルに絡んだり、将棋の新手を出したり、順位戦でA級になるなど目覚ましい活躍をしている。

谷川浩司の影響

このぶっ飛んだ世代に強い影響を与えたのが谷川浩司である事に異論を唱える人はいないであろう。 中学生棋士、かつ最年少名人という事で、当時の羽生世代に強力なインパクトを生み出したその人である。 その後の目覚ましい活躍はここで語る必要はないほどである。

この構造は、それ以降も続き、羽生世代も後続のプロに強い影響を与えている。 さて、この羽生世代が影響を与えて次に生まれた強い世代は何かというのが、本記事の本題である。

佐々木勇気世代とは

それは、「佐々木勇気世代」である。 知る人ぞ知る世代であるのだが、便利なのは将棋棋士の在籍クラスである。 これを年齢順でソートすると分かるのだが、佐々木勇気を中心の前後一~二歳にやたらと有能な若手が集まっているのを観察する事ができる。 下は古森悠太から上は石井健太郎くらいまで。 タイトル経験者やタイトル保持者がいるのが特徴的で、内二名はこの四月からA級棋士になっている。 まだ、その爆発力が表に出ていないが、そろそろ爆発して一気に開花してもおかしくない棋士たちが集約しているのが分かる。 新四段の谷合廣紀もこの佐々木勇気世代に該当する。

佐々木勇気世代が生まれるきっかけになったのは誰なのかは、彼らが生まれた頃の記録を見るとはっとする人も多いだろう。 彼らは、大体1992~1995年ごろに生まれている。 羽生善治が七冠王を取ったのがまさにこの頃(1996年)なのである。

インパクトのある事柄が後の時代に影響を与えるのは歴史の常である。

レイワゼロ年代世代とは

では、近年インパクトのある出来事とは何だったのかを考えると非常に分かりやすい。藤井聡太の登場である。 明らかに現状では頭一つ抜けた才能を示しており、将棋の内容だけでなく実績も伴ったまさに令和時代の将棋を引っ張っていく人である事に間違いはない。 彼が登場したのは2017年。平成の最後の最後であり、その後デビュー後29連勝という華々しい経歴を残したのは記憶に新しい。 七冠王達成の時と同じほどのインパクトを与えている。

となるとだ。 この前後に生まれた子どもたちは次の「世代」になる事を予想することが出来る。

――いや、これは予言である――

ここ二~三年に生まれた子どもたちを私は「レイワゼロ年世代」と名付けた。 彼らが活躍するようになるのは、これから三十年後の事であるが、その筆頭候補が表れてくるのは2033年ごろであろう。 彼らはもう存在している。 羽生世代と同等の活躍をしてくれる、将棋の歴史に大きな影響を与える世代が。

では、三十年後くらいにまたお会いしよう。