第71期ALSOK杯王将戦 挑戦者決定リーグ 広瀬八段対羽生九段戦
先日、王将戦挑戦者決定リーグで、広瀬八段対羽生九段戦が行われた。 結果は、羽生九段勝ち。 羽生九段は、他棋戦ではぱっとした成績が残せていないが、王将戦に関しては調子が良い。 リーグ内でいち早く3勝を上げた。
なによりも、内容が良かった。 往年の羽生善治を感じさせる差し回しが素晴らしかった。
光る局面
特に良かったのは、76手目。 5手前の△4六歩からの関連手で、△4七歩打ちで、先手陣が綺麗に崩されている。
そして、この次の△4五銀打ちが羽生九段らしい手だった。銀4枚が縦に並ぶ姿は圧巻。 その後、桂馬の交換やら何やらで、見事に駒を捌き有利を築いた。
崩したあとも、広瀬八段は桂を軸に攻めようとするが、その打った桂馬を回収し、さらに攻め駒の銀も回収して、完勝という内容だった。 俗に言う相手の心を折る手を指して勝った。
まとめ
今回の棋譜の内容は羽生善治復活を感じさせた。 先手の広瀬八段が自滅したとも見ることが出来るが、相手の攻めを的確にとがめた後手の指し手は非常に参考になる差し回しだった。
最近の将棋は桂をどれだけ上手く使うかで差が出る事が多いのだが、今回の棋譜もまさにその差が如実に出た棋譜であった。 後手側は打った桂馬を上手く活用できたが、先手は打った桂馬を逆用されていたのが印象的だった。 王将戦は、羽生九段が勝ち星を伸ばしているが、まだまだ4戦目。 藤井聡太三冠、糸谷八段戦が残っているため、挑戦者への道はまだまだ遠い。
羽生九段は、ここ数年スピードとバランス重視の令和将棋へのスイッチに苦労していたが、徐々に対応しつつあるのかもしれない。 それほど、今回の将棋は良い内容であった。 これからも、王将戦には引き続き注目していきたい。