第72期 王将戦 挑戦者決定リーグ戦
現在行われている王将戦挑戦者トーナメントが非常に面白いことになっている。 まず、挑戦最有力候補と見られていた渡辺明名人がまさかの2連敗からの出だしで混戦模様に。 順位の乱高下は無かったものの、傷一つ負うこと無く勝ち続けた羽生九段が現在リーグトップに躍り出ている。 2020年の竜王戦以降、タイトル戦には中々縁が無かった羽生九段だが、ここに来て再び挑戦の目が見えてきた。
羽生九段は他にも棋王戦で順調に勝ち上がっており、久々にダブルタイトル挑戦も見えてきた。 スランプと言われ続けていたが、ここに来てそれを克服しつつあるのか、時代にアジャストしてきたのか、いずれにせよ強い羽生九段が戻ってきたという感じだ。
オススメの対戦
今回の棋戦の中では、特に対近藤七段戦の棋譜が凄い勉強になるので、オススメする。 空中に金2枚を設置するというとても恐ろしい迫り方なのだが、見るべきポイントはそのちょっと前の所で、駒が色々当たっている中で完全に（後手側から見て）左辺を捌いたのは恐ろしい差し回しだった。 ここまで綺麗に駒がさばける将棋というのは中々見かけることが出来ないので、まだ並べていない人は盤に並べることをオススメする。
今後の期待
今回の王将戦リーグでは後手番が多いものの、それでも勝っているのが素晴らしい。 最近流行っていない横歩取り（横歩取らせ）で、勝っているのも好印象。 どちらかと言うと、横歩取り＋ひねり飛車みたいな戦法なのだが、この戦法と羽生九段の感覚がマッチしたのかもしれない。 いずれにせよ、次の豊島九段戦を制すれば文句なしの挑戦者。 仮に、豊島九段が渡辺明名人に負けたら自動的に挑戦者になるので、羽生九段が挑戦者になる確率は非常に高い。 現棋王は、藤井聡太五冠。そう、将棋ファンが楽しみにしていた、藤井聡太vs羽生善治が目前に迫っているのだ。 王将戦は2日制なので、2日制で鬼のような強さを見せている藤井聡太五冠有利ではあるのだが、羽生九段だって、2日制は強い。 要するに、新旧王者対決という事で、野次馬である観る将さんとしては、どっちが勝つか全く分からなくて楽しみなのだ。 どちらかが一方的に蹂躙されるという事はなく、お互いの研究をぶつけ合うそういうシリーズになるかもしれない。
もちろん、まだ豊島九段にもチャンスが残っており、藤井聡太五冠VS豊島九段という未来も十分にあり得る。 今は星を大分戻されてしまったが、それでも藤井聡太五冠に何度も勝ったことがある棋士である豊島九段が弱いはずもなく、この二人のシリーズになったとしても、楽しめるに違いない。
観る将さんは、王将戦の結果を楽しみにしている。
