82 期順位戦 A 級リーグが大変なことになっている
先日、順位戦の予想を書いたのだが、その予想を遥かに超える大混戦状態になった。
まず、昨日行われた A 級 8 回戦の結果は下記の通り
- 佐藤 天彦九段 ○-● 菅井 竜也八段
- 広瀬 章人九段 ○-● 稲葉 陽八段
- 中村 太地八段 ○-● 渡辺 明九段
- 佐々木 勇気八段 ●-○ 永瀬 拓矢九段
- 豊島 将之九段 ●-○ 斎藤 慎太郎八段
豊島九段と菅井八段と渡辺九段が負けたことにより、挑戦者争いが熾烈なものになった。 順位に関しては
- 豊島九段
- 永瀬九段
- 菅井八段
- 渡辺九段
- 佐藤天九段
- 中村太八段
- 広瀬九段
- 斎藤慎八段
- 稲葉八段
- 佐々木勇八段
という順になった。 6 勝 2 敗から 3 勝 5 敗までがひしめき合う混戦模様は変わらずだが、ここから最終的に挑戦者争いと降級争いがはっきりと分かるようになった。
挑戦者争い
挑戦者争いに加わることが出来るのは
- 豊島九段
- 永瀬九段
- 菅井八段
の 3 人。 以下、条件。
豊島九段
最終戦に勝てば挑戦、負けたらプレーオフ。もちろん、プレーオフで勝てば、挑戦。比較的有利な順位だが、昨日の将棋の負け方はかなりダメージの大きいものだったと言える。将棋の内容が良くないのが懸念材料。
永瀬九段
豊島九段が負けて、自身が勝てばプレーオフに。それ以外は駄目。 永瀬九段としてはとにかく最終戦に勝つしかない。そして、後は豊島九段が負けることを祈るのみ。
菅井八段
最終戦勝てばプレーオフ。対戦相手の豊島九段を降せば、挑戦の目が見える。しかし、王将戦で藤井聡太八冠にバキバキに心を折られているので、かなり厳しいか。豊島九段も調子が悪いので、最終戦は泥仕合になりそうだ。
降級争い
挑戦者争いよりも、降級争いはさらに複雑だ。 降級候補は 6 人。
- 佐藤天九段
- 中村太八段
- 広瀬九段
- 斎藤慎八段
- 稲葉八段
- 佐々木勇八段
まさかこんなに降級候補が出てくるとは今までの順位戦では想像できないくらいの星争いになっている。
佐藤天九段
最終戦負けて、なおかつ中村太八段、広瀬九段が勝っていたら降級。 負けたとしても、落ちる確率はかなり低いと言える。 最終戦の稲葉八段を負かせば良いが、稲葉八段も死にものぐるいで抵抗してくると考えられるので、死闘になるに違いない。
中村太八段
最終戦負けて、なおかつ広瀬、稲葉八段が勝っていたら降級。 負けたとしても、ギリギリ首の皮一枚繋がる可能性がある。 渡辺九段に勝った事がここで生きてきてる。 もちろん、最終戦勝てば文句なしに残留。 もっとも、最終戦は永瀬九段なので、簡単には勝てないだろう。
広瀬九段
最終戦負けて、なおかつ稲葉八段が勝っていたら降級。 負けたとしても、稲葉八段の結果次第で首の皮が繋がる可能性がある。 2 戦前までは降級確定とまで言われていたが、ここに来ての連勝はやはり地力がある。 最終戦は、昇級/降級に関係ない渡辺明九段が対戦相手なので、広瀬九段が勝つ可能性が高いと踏んでいる。 最近、渡辺九段のモチベーションが下がっているのも、追い風になるか。
斎藤慎八段
最終戦負けたら即降級。後が無いと言える。とにかく勝てば良い。 斎藤慎八段も降級候補から、自力で生き残れる道が出たのは流石と言える。 前期の順位が良かったのもここで効いてくる。
稲葉八段
最終戦負けたら即降級。色々な人の降級に絡んでいるので、佐藤天九段との最終戦は見ものである。 昨日の対戦では、広瀬九段の底力に押されてしまった形だ。
佐々木勇八段
最終戦負けたら即降級。 永瀬戦では、地力の差がもろに出てしまっていた。永瀬九段と佐々木勇気八段、どうして差がついたのか…慢心、環境の違い。 冗談はともかく、勝てば自力残留の目があるので、佐々木勇気八段も決して弱くないという事が分かる。単に相手が悪かったとしか……。 最終戦の斎藤慎八段も負けたら即降級なので、ここも死闘になると言えよう。
総括
最終戦は
- 豊島 将之九段-菅井 竜也八段
- 中村 太地八段-永瀬 拓矢九段
- 広瀬 章人九段-渡辺 明九段
- 佐藤 天彦九段-稲葉 陽八段
- 佐々木 勇気八段-斎藤 慎太郎八段
となっている。 どの戦いも挑戦、降級に関わりのある戦いになるので、見どころしかない。 久々に、将棋界の一番長い日が熱い日になる。