観る将さんは語りたい

すっかり観る将になってしまった、元指す将の将棋観戦記録です

詰将棋のセオリー

詰将棋の本質

詰将棋には、セオリーとも呼ぶべき言葉がいくつかあるが、個人的には以下の3つに集約されると考えている。

  • 逃げ道に捨てよ
  • 危険地帯に誘え
  • 守備駒を無効化せよ

この言葉の内、危険地帯に誘え逃げ道に捨てよは実質的には同義である。 詰将棋の目的は、王様を動かなくさせる事が目的である。 その目的を達成するため、危険地帯に誘い、逃げ道を封鎖し、守備駒を無効化するのだ。

逃げ道に捨てよ

さて、詰将棋にしろ、指し将棋にしろ、この基本的な考えを抑えているかいないかで盤面の見方がかなり変わる。 特に、逃げ道に捨てよは、「逃げ道を塞げ」と言い換えても良い。 詰将棋では、逃げ道を塞ぐために逃げ道に駒を捨てることがある。 実際に、そういう筋がかなり多い。

この逃げ道を塞ぐ手/逃げ道に捨てる手は、詰将棋の最序盤に出てくることが多い。 詰将棋を何問も解いてくると、優先度が非常に高い手である事が見えてくる。 そうして、詰将棋のための思考パターンが大きく変わる。 すなわち、盤面を見て玉の逃げ道を防ごうという思考が最初に出てくるようになる。

危険地帯に誘え

もう一つ、危険地帯に誘えも非常に重要な考え方である。 玉の位置をずらすだけで簡単に詰ませることが出来るパターンがある。

玉は下段に落とせという格言があるが、あれは玉の移動範囲を削れとも言いかえることが出来る。 玉は、9マスに移動出来る駒だが、下段に落とすことで、移動できるマスが6マスに減る。 そうなると、玉の動きを制限しやすくなる。 玉の動きを制限するという意味では、玉を上段に落とす(?)事も、同義であるが、将棋の駒は圧倒的に前進する駒が多いため、玉を上段に落としたとしても、簡単には追い詰めることが出来ない。 従って、出来れば下段、理想としては隅に玉を追いやるならば詰めやすくなる。

余談であるが、2020年現在、プロ棋戦ではあまり穴熊を見なくなった。 穴熊は非常に硬い囲いであるため、かつては良く採用されていた。 しかし将棋AIの発達により穴熊をより容易に崩されてしまうことが判明したため、穴熊の採用率はかなり下がってしまった。 穴熊は、玉の移動度という点で見るならば殆ど移動が出来ない囲いである。 故に、城壁が剥がされてしまった場合の粘りにくさは、多くの人が知っている通りである。 もちろん、それは上手に攻めた場合の話であり、アマチュア同士の戦いでは案外攻めきれない事が多いゆえに、穴熊側が勝つことが多い。 これは人間の経験値による差が出る将棋になるので、それはそれで一つの楽しみ方である。

閑話休題

詰将棋における危険地帯は、様々な形がある。 詰将棋を解く時にこの様々な危険地帯の形を覚えることが出来るのは非常に強い。 指し将棋で、どうすれば相手の玉が危険になるかというのを見極めることが出来るようになると、勝率がぐっと上がる。 すぐに棋力を上げたければ詰将棋が良いと言われるのは、この危険な形を覚えるというメリットがある。 相手の玉も自玉もそれぞれどうなったら危ないかを判断出来るようになると、棋力はぐっと上がる。

守備駒を無効化せよ

守備駒の無効化は、詰将棋において一番難しい手だと考えている。 というのも、先述した逃げ道に誘ったり、危険地帯に誘ったりする形は少ないが、守備駒の無効化は形と呼べるものがかなり多くあるからだ。 一番有名なのは金頭桂の筋だが、それ以外にも様々な手筋がある。 終盤が強い人は、この守備駒の無効化の形をかなり知っている人である。 詰将棋を解く時、守備駒の無効化の手筋を多く学ぶことが出来る。 やはり、終盤力を伸ばすために詰将棋は役立つと言える。

結論

詰将棋のセオリーは、そのまま終盤のセオリーと言い換えても差し支えない。 棋力を伸ばすためには、詰将棋を解くことは有効であると言える。