観る将さんは語りたい

すっかり観る将になってしまった、元指す将の将棋観戦記録です

現代将棋における駒の重要性

現代将棋における駒の重要性

将棋の駒
将棋の駒

今日は、現代将棋における駒の重要度の変化について書きたいと思う。 これは、一個人の観察と考察に基づくものすごく適当な論考なので、読み物の一つとして受け止めていただければと思う。

昭和においては、歩が重要視された

昭和時代、最も重要視されていた駒は「歩」である。 「将棋は歩から」という名著が出ているように、将棋における基本中の基本が徹底された時代だったと言える。 この時代には、色々な将棋が出たが、矢倉、四間飛車といった将棋が中心となっていた時代であり、歩の重要性が常に意識されていた時代である。 1歩のあり/なしで盤面の有利不利が明確に分かれている時代であった。

平成においては、銀が重要視された

平成時代、最も重要視されていた駒は「銀」である。 これは、第一人者である羽生善治先生の影響が大きい。 この時代には銀を軸とする様々な戦法が現れては消えを繰り返したが、将棋の攻めは飛車角銀香歩という言葉が残るくらい攻撃の軸になる駒であった。

矢倉における3七銀戦法や、森下システムなどは銀が中心となった戦法が流行していたのが、懐かしい。

令和においては、桂馬が重要視されている

さて、現代将棋の最先端である令和時代において最も重要視されている駒は「桂馬」であると言えよう。 今の将棋に強い影響を与えているのは、コンピュータ将棋であり、コンピュータ将棋は桂馬の活用をかなり重視する傾向があるからだ。 居飛車振り飛車も桂馬がポンポン飛んでいくようになった。

特に目立つのは、矢倉戦。 かつての矢倉の桂馬は防御を意識した桂跳ねだったが、現在は攻撃重視の桂跳ねがほとんどである。 桂馬の攻撃力の高さがコンピュータ将棋により浮き彫りになり、桂馬に弱い囲いが忌避されるようになってきた。 例えば、角換わり腰掛銀で、玉の位置が4ニ/6八になったのも、桂馬攻撃への耐性を高めるためであり、振り飛車において右ミレニアムが注目されているのも、自陣の桂馬の活用&桂馬攻撃への耐性の高さがあるからである。

現代将棋は囲いの崩し方がかつてに比べてぐっと早くなっている。 囲う前に、囲われる前に崩しに行くというのが定跡になっている。 足の早い駒である桂馬が活用されるのも、この戦い方がベースになっているからだろう。

まとめ

非常に雑な考察のまとめであるが、言いたかったのは、今は桂馬が非常に重要視されている時代だという事。 もちろん、他の駒の重要度が下がったという訳ではないが、以前に比べると桂馬の価値はかなり上がったと思う。 自分の中では、桂馬>銀というくらい、桂馬の方が価値が高い駒だと思っている。

時代が進めば将棋の価値観は変わっていくので、また時代が進めば別の駒が活躍する時代が来るかもしれない。 その時にはまたこの記事を振り返って思い出してみたいと思う。