観る将さんは語りたい

すっかり観る将になってしまった、元指す将の将棋観戦記録です

右ミレニアムは難しい

右ミレニアムの苦難

右ミレニアム
右ミレニアム

右ミレニアムという戦法を最近プロの棋戦で見かけることがあります。 右ミレニアムは十五年ほど前に自分も可能性を感じて研究を重ねた戦法です。 そのため、右ミレニアムの良さも悪さも両方知っています。

右ミレニアムの良さ

右ミレニアムの良さは、穴熊に負けるとも劣らない硬さで戦える戦法であるという点です。 十五年前は居飛車穴熊全盛期且つ、藤井システム全盛期。 持久戦と急戦の境目を行ったり来たりしていた時期です。

右ミレニアムの硬さは美濃囲いには無い硬さでこの戦法を試した時は、その硬さに任せて勝つことがとても楽しかったです。

右ミレニアムの悪さ

右ミレニアムの悪さは、その駒組みの自由度の低さです。 特に、先手からの8六角のような手にとても弱いのが弱点です。

ミレニアムは、桂頭と中央に弱いという特徴を持っています。 その弱さは右ミレニアムも同様です。

しかしながら、中央を狙う8六角のような手は通常のミレニアムにはありません。 なぜならば、飛車先の歩が突かれているので5筋を狙う角の覗き(2四角が無い)の手筋はありません。

一方、右ミレニアムには自然に指せる8六角で駒組みを制限することが出来ます。 それはつまり、左金の駒組みがかなり制限されます。

駒組みで本当に苦労するというのが右ミレニアムの明確な弱さです。

右ミレニアムは良い戦法なのか

右ミレニアムは、一発勝負のような場面で使う分には優秀ですが、研究や対策を知られていると苦しい戦いを強いられる戦法です。 5筋に明確な弱さがあり、それをカバーするための手段が乏しいため中々戦い難いです。

戦法として構造的な欠陥を抱えているため、指しこなすのが難しい戦法と言えるでしょう。 手順を色々と工夫する事で、駒組みを上手く調整出来るかもしれませんが、今の所それは難しいんじゃないかなと思っています。 振り飛車の捌きを重視するならば、短手数で組み上がる美濃囲いはやはり優秀です。

最近は、居飛車穴熊を組んでくる居飛車党は大分少なくなってきたので、それに対するカウンターとして右ミレニアムを組むという流れなのかもしれませんが、そうすると今度は居飛車穴熊に組まれてしまうというジレンマのような悩みがあります。 振り飛車党にとっては苦難が続いていますが、またどこかでブレイクスルーが来ると思うので、それまでは美濃囲いや銀冠で戦っていくしかなさそうです。